空の暗闇は月を磨く

夜空見あげて 涙ぐむほど推しが好き

【ネタバレ】2023/8/26昼夜 舞台『蝉灯す』

むわっと蒸し暑い熱風にじりじりと肌を焦がす日差し、そして、じじじじと賑やかな蝉の声を浴びつつ、本日は舞台「蝉灯す」を観に行ってきます!

 

 

8/26(土)

プレゼントボックスが設置されているとのことで…ちょうどどんぴしゃストライクのタイミングでお手紙をお送りしようと思っていたので、きょうはお手紙を書いてきました!ふふーん!

わたし自身、コロナ禍から推しを推しはじめたこともあって、プレゼントボックスを通してお手紙をお送りするのは今回が初めてとなります。その上で大阪の事務所に東京にいる推し宛のお手紙をお送りしていたことも相まって、出来たてほやほやのお手紙をお渡しできることがあまりにもうれしくて…夏らしく封筒をひまわりでデコってしまう(死語)どころか、ささやかながらプレゼントまで用意してしまいました…!ほんとうにちょっとした消耗品なんですけども…どうかお気に召していただけたら…幸いです…

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会場に到着しました。通り雨にザっと降られた挙句に方向音痴が祟って道に迷うなど、開演前からなんとも散々ですが、これから推しの演技をこの目にすることができる喜びですべて吹き飛んでしまいました。たのしみだなあ~!

 

グッズ購入完了。今回はパンフ個ブロ5種チェキ円盤と購入するものが多い…!と思えど、抗えないのがオタクという生き物なので仕方がないですね…総額約2万円也…

 

客席へ。会場全体を通して聞こえる祭囃子とともに、ステージ上には赤い提灯に照らされた屋台が立ち並んでいます。いいねえ!お祭りだあ!金魚すくいやりたーい!

 

 

舞台『蝉灯す』

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玉尾町青年団の兄貴分・勇吾くん。長い付き合いの青年団との会話や帽子の被り方から、昔はやんちゃなガキンチョだったものの、争いを避けて調和を保とうとする大人な振る舞いやふとしたときの気遣いから、仕事に就いたり家庭を築いていくにつれて、立派な大人になっていったんだろうなあ…ってカンジの、関西弁の気立てのよいお兄ちゃんでした。めちゃくちゃお似合いだったなあ…似合わない訳がないもんなあ…

 

わたし知ってる…知っているんです…職場の上司や同僚だったら絶対好きなタイプだってことを…そしてその左手薬指の指輪を横目で見て「だよね〜!!!!!」とこころの底から納得することを…(広がる妄想)

ということで…既婚者どころか子持ち!つまり妻子持ちの役柄でした!滾るう!!!♡

なにがよかったってさあ…ふとしたときに言葉を交わさずとも会話をするように美穂さんとふたりで見つめ合う瞬間がたっくさんあってさあ…その様子を見るだけでこちらまで幸せになってしまうほどにステキでした…ありがとうございましたありがとうございました…(昇天)

 

序盤にお昼ごはんを食べるシーンがあるのですが、これがガチの消え物で、ここぞとばかりに推しが口いっぱいにおにぎりを頬張る姿をこの目で見ることができて…眼福でした…!お祭りの準備でいっぱいカロリーを消費してきっとお腹空いていたんだろうなあ〜と言わんばかりの大きなひと口だったなあ…いっぱい食べる君が好き!♡

 

うっかり昨日パチンコに行ったことを美穂さんの前で口を滑らせて気まずい顔をする勇吾くんめちゃくちゃかわいくないですか…それに怒って輪ゴムで勇吾くんの背中を攻撃する美穂さんもかわいくないですか…ああん!もう!仲良し夫婦め!どうか末永く幸せに!!!!!

恭次郎くんとキスをする美穂さんを見てしまったことを15年以上隠している勇吾くんめちゃくちゃかわいくないですか…それに照れて八つ当たりのように勇吾くんのお小遣いを減らす美穂さんもかわいくないですか…壮太くんが全部話したあとの勇吾くんなんて頭を抱えながらふらっと倒れそうになって青年団の面々に支えられてたんですよ…ちょっとまってよ…純情にも程があるじゃん…

 

小学生時代のモノローグで、美穂さんを巡って恭次郎くんと喧嘩をするシーンがあるのですが、それはそれは見事な小学生男子でした…!そもそも殴ることなく蹴ることなくレスリングスタイルで喧嘩する時点で完全に小学生なんよ…!ベッコベコに潰されたランドセルを背負っているのもめちゃくちゃポイント高かったよね…地団駄もかわいかったなあ…

ノローグから現代軸に戻るときに暗転するのですが…法被を着る後ろ姿が超カッコよかったです…最後にピッと襟元を引っ張って正すのがこれまた性格だなあ…

 

いやあ!関西弁ネイティブの本領発揮感がエグかったっすね…得意分野で活躍する推しほど輝かしいものはないのですよ…!わたしは勇歩くんのこってりとした関西弁が大好きなのでずっと耳が幸せでした…

 

壮太くんの想いを隠れ蓑に恭次郎くんに怒りをぶつけていた勇吾くんが、美穂さんに背中を押されて、己のプライドを捨て去って恭次郎くんに思いをぶつけるシーンがさあ…恭次郎くんに勝てないにしても「幸せになってやる!」という宣言の時点でもはや大優勝なんですよ…マジでカッコよかったなあああ…

 

今回のチケット販売はカンフェティで、購入する際に席を知ることができたので、マチネは下手オブ下手、ソワレがドセンター最前と、場所を選んで席を取ってみました。

もちろん最前ドセンターは贅沢極まりなかったのですが…下手オブ下手もよかったですね…だってやきそば屋さんがとても近かったんだもん…推しが鰹節を補充したりヘラを拭いたりするだけなのに、ここまでずっと眺めていられるものなんだなあ、と思いましたね…

 

 

蝉灯す。お祭りの準備をする玉尾町の人々と、15年ぶりに東京から帰ってきた恭次郎くんを切り取った人間ドラマで…わたしとしてはTBS系列の平日お昼の「愛の劇場」で放送されていそうな作品だなあ、と思いました。季節も季節なので…久々に「大好き!五つ子」を見たくなってしまった…

 

ただ、一見どことない当たり障りのない物語であれど、同じく私オムさんの作品の「極端な人たち」に引き続き、案の定、今作も物語を通してありとあらゆる要素が絡み合っているので…単細胞なわたしがそれらを紐解いて多少なりとも言語化するには一旦整理をしないといけないですね…うーんとうーんと…

キーワードとしては、「甘ったれ見栄っ張り弟」と「甘やかし背負いすぎ兄」、「田舎」と「東京」、そして「プライド」というところでしょうかね…

 

「甘ったれ見栄っ張り弟」と「甘やかし背負いすぎ兄」の話。どちらの気持ちもわかる、わかるんですよ…己の罪や目の前の現実っていざ向き合うと苦しくてしんどくて逃げ出してしまう弟の気持ちも、他人のやること為すことに己が責任を取らなくてはいけない、ひとから頼られているから頑張らなくちゃいけないという兄の気持ちも…わかるからこそ、めちゃくちゃしんどかったです…

特にしんどかったのは、お祭りの準備を終えたあとに神社で恭次郎くんと青年団の面々がお酒を飲んでいるシーンで、司さんが通りかがって「ゴミだけお願いしますね」とひとこと残して去るじゃないですか、そのあとにまあいざこざがあって、ゴミを残したまま恭次郎くん以外が帰ってしまうのですが…それをお酒を飲んでもいない正輝さんが片付けるっていうね…提灯の電球もそうですけども、たぶんそういう尻ぬぐいをたくさんしてきたんだろうなあ、って… あああ思い返すだけで胸がキュッと痛い…

いや正輝さんもきっと頼られることが好きだからやっているところはあると思うんですけどね、でもふと我に返るとどうして自分だけ?と虚しくなるんだよね…わかる…わかるんよ…

 

「田舎」と「東京」の話。30超えて謝罪も感謝もろくにできずに見栄や虚勢を張る恭次郎くんはぶっちゃけマジでクズなんですけども、最後の最後にそんなクズを受け入れてくれるところが田舎だからこそだなあ、と痛めていた胸をそっと癒すようなあたたかさを感じました…

知らないひとが来たときに皆が物珍しそうに様子を伺ったり、飲める場所がないからか常温で飲める日本酒や焼酎を飲んだり…田舎らしい描写の数々が愛おしかったなあ…

この対比については、まだ上手く語れないんですけども…玉尾町の人々に東京からやってきた葵さんを加えることでひとつのアクセントを生み出していること、そして藤田さんがいわば東京の擬人化みたいなものであること、をこの場でメモしておきますね…

 

「プライド」の話。玉尾町の人々に対して、東京と比較して田舎を見下すような発言をしつつも、己のちっぽけなプライドを守るために自分自身のことは話さない恭次郎くんのみならず、そんな恭次郎くんにお金を貸した上で玉尾町で生活することに対する己のプライドを見せつける柳井くん、中村父に怒鳴られつつも子どもたちに虚勢を張る太田父など、ところどころで「プライド」が散りばめられていたような気がしました。

そして、最後の最後に、お祭りの準備をする人々の前で藤田さんにお金を返すことになりプライドをズタボロにされた挙句、青年団の面々からプライド等を捨てた本心をぶつけられた結果、恭次郎くんもプライドを捨てていままで見下してきた玉尾町の人々に頭を下げて謝罪や感謝を伝えていく、というところに繋がっていくんだなあ、と思いました。んでさあ…玉尾町の人々に頭を下げる恭次郎くんの拳が震えてたんですよ…そりゃあそうなんです、だって人間そんな簡単にプライドなんて捨てきれないもんですよね、だからたぶん恭次郎くんとしては正直めちゃくちゃ悔しいんですよ、自分のことがめちゃくちゃ情けないんですよ、それでもプライドを捨てて本心を伝えてくれた仲間に、クズな自分をあたたかく迎えてくれた玉尾町の人々に向き合おうと頭を下げているんだろうなあ、って思ったよね…

 

藤田さんがさあああ…めっっっちゃくちゃよかった…!!!

だってさあ!!!基本的に人懐っこそうでフランクな口調なのに、恭次郎くんに向けて圧をかけたり辛辣な言葉を投げかけたり…ギャップがエグかったんだもん…あれはだめだ…ズルい、ズルすぎるって…

特に、恭次郎くんに向けた「あ?」がさあああ…勇吾くんとか中村父とかもときどき同じようなセリフを吐くんですけども…玉尾町の人々の「あ?」とは違って、怖いんですよ、優しさが微塵にも感じられない「俺に逆らうのか?」って言わんばかりの「あ?」なんですよ…圧倒的に強者なんですよ…たまらないよね…

あと、土下座をする正輝さんに向けてしゃがんで言葉を掛けるシーンがあるんですけども、その前のシーンで吸っていたアイコスのなんとも言えない焦げ臭~いにおいが漂ってきそうな空気感もよかったなあ…

 

柳井くん好き好きくん。藤田さんのチャラさもそれはそれで好きなんですけども、柳井くんのお茶目さもめちゃくちゃよくないですか…てかああいうひといるよね、ムードメーカーでその場にいるだけでパッと場が盛り上がるんだけども、いざちゃんと話を聞くと思ったよりも他人に対する考え方がさっぱりしているひと…

 

中村父のゲンコツを食らいたい。最後の最後に恭次郎くんにゲンコツしたときのあたたかさと言ったらさあ…凍えるように寒い冬のコンビニの前で食べるおでんのようにあたたかかったなあ…

小学生の勇吾くんにビールが入っているクーラーボックスを取りに行くように伝えたときに、バヤリースもあるぞ!って伝えるのが、子どものこころの掴み方を知っている気前のいいおっちゃんなんだろうなあ…って思ったよね…!他の子たちも一緒にクーラーボックスを取りに行かせて、恭次郎くんだけ残してお父さんの様子を聞くというのもこれまた粋だった…マジで気遣いができるおっちゃんほど最高なもんはないんよ…

しかしあの強面のおじいちゃんがお腹の上でお孫さんにジャンプされて何とも言えない表情をしている様子が容易に想像できますね…きっとお孫さんにデレッデレなんだろうなあ…

 

ちびっこ壮太くんが中村父に「おっちゃん、ネクターありまっか~?」と聞いたときの生意気な表情とか、あるよ!と言われたときのうねうねした動きとか…めちゃくちゃかわいかったなあ…

 

小道具が細かい。金魚すくい・わたがし・ヨーヨーすくいの看板には「たのしくつってみよう!」というポップな文言や金魚のかわいらしいイラストが入っているのに、やきそば・射撃はそういう文言がないんですよ…ということは、昔からずっとその看板を使っているんだろうなあ〜!とか、射撃の金額が書かれた貼り紙だけ手書きで急遽書いたんだろうなあ〜!とか、小道具ひとつで、ありとあらゆる想像を膨らませば膨らますほどたのしかったです…!

あと、ああいうお祭りの準備ってやたらと段ボールのゴミが出てくるものだと思うんですけども、その段ボールゴミのなかにモノローグのときに脱いだ法被などを収納していたり、段ボールを捨てるついでに登場人物の立ち位置を変えたり、という演出?オペレーション?の数々に感心しましたね…

 

 

今回はざっくりとした感想を書いてみました。極端な~に引き続き、まあ円盤を幾度か見返すことによってもっと内容が詰まった感想が書けるかなあ、ってカンジですかね…

 

はてさて、今作は推しにとって大きな節目を迎える直前の作品となりました。大阪とは言えずとも、関西弁の役とのことで「演劇で大阪を元気にしたい」という劇団の志を、最後の最後に果たすことができたのではないか、とわたしは思います。

来月以降どのような形でご活躍されるのか現時点では不透明ですが…これからも引き続き応援してまいります!よろしくお願いいたします!